X-T4のフィルムシミュレーションをお花畑で比較した

富士フィルムのカメラにはフィルムシミュレーションというものがあり、銀塩フィルムの雰囲気、メーカー開発者が言うにはフィルムに近づけてあるのではなく、あくまでも理想形にしてあるということらしい…..

逆に考えると、当時のフィルムも理想最終点に行かず、工業製品として妥協するポイントで発売していたのかと想像する。まあ理屈は兎も角として、その雰囲気を味わえるのは嬉しいです。

ところで普段撮影する時、何かのモードに設定することになるが、後で再現像できるとしても、例えばクラシッククローム、ASTIAなど、撮る対象によって予め決め打ちと言うか仕上がりをある程度予想して撮影することになります。

ところで今回は本当にその設定、つまりそのフィルムシミュレーションがピッタリなのかを再考してみました。

目次

比較

先月末(2025.5)、鳥取県米子の大山寄りの丘陵地を走っているとふと畑にポピー他、いくつかの種類の花が一斉に咲いていて、それを撮影しました。畑の持ち主が種を撒いたと想像しますが、何気ない畑を通りかかったら目に飛び込んできたので撮影した次第です。

普通、そんな鮮やかな色が混ざっているとしたらどんな設定がいいのでしょうか。とりあえず最近お気に入りのASTIAで撮影し、後で比較しようと思いました。結果はびっくりです。参考に個人的ながら感じたこともメモします。

以下の画像は同じRAWファイルから同一条件(色温度、明るさなど)とし、フィルムシミュレーションだけ変えてあります。サイズだけ6240*4160をリサイズして1200*800としてあります。左右のボタンで画像が入れ替わって比較できます。

PROVIA

標準のPROVIAです。この色調を基準とします。

Velvia

Velvia/ビビット
PROVIA/スタンダード
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御存知リバーサルフィルムで派手な発色です。前に使ったことがありますが、当時は透かして見るかプリントして見るかでした。モニターでは派手に見えるのでやや違和感がありますが、もしフィルムをスキャナーで取り込むと同じ発色になるような気もします。

全ての色がPROVIAと較べてグッと前に出ています。この作例のような場合は好みが分かれると思います。ノーマルがいいか派手さがいいか。

ASTIA

PROVIA/スタンダード
ASTIA/ソフト
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この設定は今年の春先にいいなと感じて使い始めたものです。落ち着いた発色とありますが、なかなかどうして。PROVIAよりやや派手です。それにポートレートでも使え、人の肌色がうまく再現できます。

元々色が濃いのでこの画像ではあまり違いは感じられません。人がいれば違いはわかったでしょう。

クラシッククローム

PROVIA/スタンダード
クラシッククローム
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私の場合、この設定は街角スナップや散策、お城巡りなどのドキュメンタリー風に撮りたいときに使うことが多いです。ではこんな風景ではどうなのか。やはり花の生き生きとした様子を撮るのはイマイチかなと感じます。しかし風景の一部として扱うのであれば色を抑え気味にしたこのクラシッククロームもありかと感じます。

PRO Neg.Hi

PROVIA/スタンダード
PRO Neg. Hi
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ぱっと見ですが、やや色調を抑え気味にしてコントラストを高めた様な感じです。このような被写体では好みでしょうか。どちらもいいと感じます。

PRO Neg.Std

PROVIA/スタンダード
PRO Neg. Std.
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PRO Neg. Hiよりコントラストが低くなります。特に赤い部分が抑えられていて、クラシッククロームに近い感じです。このような被写体ならこの設定以外が合いそうです。

クラシックネガ

PROVIA/スタンダード
クラシックネガ
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最近、富士フィルム製カメラのフィルムシミュレーションを皆さんどう使うかを見ていると、よりマニアックと言うかレトロと言うか、昔のフィルムに寄った設定を使われています。このクラシックネガも同様、X-T4には無いですが、ノスタルジックネガもよく使われているようです。使い方は個々の好みですが、あまりに古臭いのは私は好みではありません。

しかし最近になってこの古い感じと思っていたクラシックネガもなかなか使えると感じています。この作例でもわかるように、ブルーがやや抑え気味になっていてシーンによってはイメージ通りになる場合があります。画面がシンプルになるので使いやすいのです。

これを撮った時、赤や青、それに白い花、葉の緑など、様々な色をイメージできればいいなと思っていましたが、クラシックネガにしてみるとシンプルでこれもいいなと思いました。

ETERNA/シネマ

PROVIA/スタンダード
ETERNA/シネマ
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色調表現から言うと派手ではない部類の設定です。クラシックネガ、クラシッククロームなど、好みになります。

映画のような落ち着いたシャドウが生きる撮り方に合います。

ETERNA/ブリーチバイパス

PROVIA/スタンダード
ETERNA/ブリーチバイパス
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日本語で言うと銀残し。渋いというかこの色いっぱいのお花畑もドライフラワーになります。表現の一つですが、この風景でこの設定はどうなのか。

昔、白黒現像で失敗してこんな状態になったことはあるけど、現代ではデジタルでできる表現。今度試してみようと思います。

ACROS

PROVIA/スタンダード
ACROS
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色調豊かな白黒とあります。この風景では私は使わないですが、もしあるとすればYeやRなら花が浮いていいかもしれません。

ACROSは実際に使ったことはなく、NEOPAN PRESTOまでです。こうしてデジタルで雰囲気が楽しめるというのは以前なら予想もつきません。今度試してみたいです。

ACROS全て

ACROS
ACROS Ye
ACROS R
ACROS G
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ACROSとYe,R,Gの設定を並べてみました。これを見ているとO(オレンジ)フィルターで風景を撮っていた頃のことを想い出します。

ACROS – モノクロ – セピア

PROVIA/スタンダード
ACROS
モノクロ
セピア
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モノクロとセピアです。


今回は花が多く咲いている畑の素材を使い、設定でどう変わるのかを試してみました。これは被写体によってはガラリと結果が異なることもあります。

フィルムシミュレーションというのは一種のお遊びのようでもありますが、イメージに近づけるという便利なものでもあります。

別メーカーのカメラを使っていた頃は、イメージ通りにするため、RAW現像で対応していたものですが、これがまた面倒な作業でもありました。それが富士フィルム製カメラではこのフィルムシミュレーションによってかなり撮影時のイメージに近いので、極端な話、そのままjpegでも満足できます。実際には微妙なホワイトバランス、明るさを調整することもありますが、普段使いであれば撮って出しでOKです。

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